トルクレンチ/XTOOLS Torque Wrench




カーボンパーツ取付の際の必須工具

私の愛車 TCR2はエントリーグレードのアルミバイクなので重く、買った時そのままの重量はカタログ値で9.3kg(Sサイズ、ペダルなし)でした。
最初のうちは乗っているだけで満足していたのですが、山を登ることに傾向してくると、何とか軽量化したい、しかもお金をあまり掛けずにと考えた出しました。
そこでまず目をつけたのが、シートポストのカーボン化でした。
自転車を買った時についていたのはGIANT CONTACT と言う太いアルミパイプ(φ30.9)だったのでこれを細いカーボン製(φ27.2)にしました。
結果、約10,000円の投資で数重gの軽量化とカーボンならではの優れた振動吸収性も手に入れる事が出来ました。
軽量化の効果は残念ながら分かりませんでしたが(減り代が微小過ぎて当然です)、振動吸収性は明らかに向上しました。
(特にアスファルトの細かいひび割れ路面を通過した際は劇的な変化を感じました)
なのでアルミからカーボンのシートポストへの変更はお勧めのチューンナップですので是非、やってみて下さい。
で、その際必要になるのが、今回紹介するトルクレンチなんです。
ロードレーサーのパーツはほぼ全て六角穴付きボルトで締結してあります。
そしてそれぞれのボルトに締め付けトルクが規定されています。
必ずボルト穴の近くに表示がありますので確認してみて下さい。
で、カーボンパーツにはこの締め付けトルクが特に重要なんです。

今回は工具のお話です

締め付けトルクとは

工学系の知識のある人以外には馴染みがない単語かも知れないので簡単に説明しておきます。
ボルトやネジを締めてモノを締結する際の締結力はボルトの軸方向の力(軸力)に比例します。
つまりボルトの軸方向に伸びる力の反発を利用して締結しているんです。
(ボルト穴やネジ部が汚れていると表面摩擦力が邪魔して必要な軸力が発生するまで締め込む事ができません。だからボルト締結の際は穴やネジ面にグリスを塗って表面摩擦力を下げているんです)
だから締結力を維持するには軸力を規定値以上に管理することが重要なんです。
ちなみに表面摩擦力は緩み防止に効果があるので、部位によっては軸力管理だけでなく摩擦力を向上させることも必要になる場合もあります。

  • 締結力管理⇨ボルトの軸力管理
  • 緩み対策⇨締結部の表面摩擦力向上

しかし軸力を直接測るのは非常に困難で計測器を仕込んだ特殊なボルトを使わないと測れません。
ですが、軸力はボルトを締め込む際の回転方向に回す力(締め付けトルク)に比例するんです。
しかも締め付けトルクはトルクレンチがあれば簡単に管理できるんです。
そこでボルトの締結力は締め付けトルクで管理するのが通常になっています。
絵と出典は ”ものづくりweb” より引用(こちら

ボルト締結における軸力と締め付けトルクの関係

なぜカーボンパーツは締め付けトルク管理が必要なのか?

それはパーツの脱落と破断を防止するためです。
締め付けトルクが基準以下だと十分な締結力が得られずパーツが脱落してしまうのは金属、カーボンに関わらずどんなパーツでも同じです。
但し、金属パーツの場合は仮に締め付けトルク上限値を超えて(締め過ぎ)もパーツが壊れたりする事はまずありません。
締め過ぎによりボルトを捩じ切っちゃうことはあるかも知れませんが、その場合はボルトを交換するだけだ安価な修理コストで修復可能です。
しかしカーボンパーツの締め付けトルク上限値はその意味において重みが違います。
カーボンパーツとは”炭素繊維強化プラスチック(CFRP)”と言われるモノでその名の通りプラスチック(カーボン繊維をエポキシ樹脂で固めたモノ)なんです。
ですから、強い応力や衝撃が入ると簡単に壊れてしまいます。
もし締め付けトルク上限を超えた状態で使用し続けるとエポキシ樹脂の剥離を促進したり、最悪カーボンパーツ自体が破損することもあります。
ツーリングやレース前などの事前整備の際、緩みがないが確認のため締め直している最中に

「ピキッ」

なんて音が聞こえたら、それは高価なパーツが一瞬にしてただのゴミになった事を意味しています。
よくある事故らしいですが、想像するのも恐ろしいですね…
こんな悲しい事故を防ぐためにもカーボンパーツを購入したら同時にトルクレンチも用意したが良いと思います。

トルクレンチの紹介

トルクレンチは表示方式(デジタル/アナログ)の違いを除いて、構造的には大きく分けてニードル式とラチェット式(プリセット式)の2つに分けられると思います
ニードル式は締めながら現在の入力が何Nmなのか分かるので、手に感覚を覚えさせたり、高精度が求められるような部位を締め付けるのに向いています
(但し、高精度で締めるにはコツが必要なのでプロや慣れた人向きです)
一方、ラチェット式は予め目標値をセットして締め付け、レンチの首が ”クキッ” て折れたら辞めればいいので分かりやすく初心者向きです。
私のトルクレンチはラチェット式で、”クキッ”て首が折れた後に仮にちょっと締め過ぎても大丈夫なように、規定値幅の下限値をプリセットしています。

ラチェット式

まず最初は私が使用しているトルクレンチ(XTOOL Pro Torque wrentch)を紹介します。
3年くらい前に買ったのですがまだまだ海外通販サイトで流通しているロングセラー商品です。
トルクのカバー範囲は3-15NmなのでBB以外のパーツ(ハンドル、ブレーキやサドルなど)なら問題なく使えます。
BBはシマノ ホローテックⅡで35~50Nmなので、ここまでカバーするトルクレンチは高価なので使用頻度も考えると自分なら自転車屋さんにお願いすると思います。
このトルクレンチのいいところはコンパクトでシンプルデザインのため直感的に使えるところです。
ケースもコンパクトなので持ち運ぶ際も場所を取りません。
ビットが少ない(トルクスのビットは付属無し)こととエクステンションがないので奥まったところ(ブレーキキャリパーなど)の締結には苦労しますが、両者ともホームセンターで買い足せばいいので大した問題ではありません。
規定値に達した際の節度感(”クキッ”感)はしっかりしているので、気づかずに誤って締めすぎることはまずないと思います。
初めてのトルクレンチとしては必要十分な機能を有していると言えます

XTOOL Pro Torque Wrentch
ビットと本体のみのセットです

底部に使い方が書いてあります。訳すと…
①底部のダイヤルを引き出し
②回してプリセット値を決めて
③ダイヤルを戻す
となっております

ニードル式トルクレンチ

ビットを付けたブレードのひずみ量でトルクを測る構造で、見ただけでメカニズムまでわかるシンプルさ!
仕事で使用したことがありますが、ラチェット式のように規定トルクになった際の手ごたえがないのでメモリを注視しながら締める必要があります。
でもそのおかげで締め付けトルクをカラダで覚えるには最適なツールだと思います
値段も意外と安くていいのですが、構造上ブレードに変な応力がかからないように管理には気を使っう必要があります
難点はちょっと大きいところですかね

ブレード部分のひずみ量でトルクを測る構造です。
シンプルな構造ですが保管する際はブレードに変な応力をかけないような気配りが必要です

まとめ

いわゆる”手トルクレンチ”のような職人技を習得するにはニードル式がベストだと思いますが、一般的な用途ならばラチェット式で不満が出ることはまずないと思います。
ラチェット式の方がそこまで気を使う必要がないのでレース会場などに持ち運んで使用する前提ならラチェット式の方が適していると思います。
但し、ラチェット式もニードル式も計測器なので定期的に校正(*)をする必要があるので承知しておいてください
(*)計測機器表示される値とそれに対応する既知の値(国際標準など)との関係を特定の条件下で確認する一連の操作。(weblioより)
ちなみに校正は専門業者に任せるのが一般的です(たとえばこちら


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今回紹介した商品

ラチェット式
ラチェット式の小型トルクレンチは自転車整備用にはメジャーアイテムなので海外通販でも多数扱っています。
wiggle

X-Tools Pro Torque Wrench and Bit Set One Size

私が使用しているツールです。
(写真がwiggleのリンクになっています。詳しくはwiggleでご確認ください)

X-Tools Essential Torque Wrench Set

下記のamazonで販売しているBikeHandsのトルクレンチとモノは同じ気がします。
(写真がwiggleのリンクになっています。詳しくはwiggleでご確認ください)


Amazon

BIKE HAND トルクレンチ

上記のXTOOL Essential Torque wrentchのOEM品のように見えます

BIKE HAND(バイクハンド) YC-617-2Sコンパクトトルクレンチ ブラック

ニードル式

amazon
意外と安いんです。力加減を手に染み付ける練習用に購入するのも面白いかも

ニードル(針)式トルクレンチ 0~300 N.m プレート形 自動車修理レンチ 滑り止め 調整可能

投稿者プロフィール

44kz(ししかず)
44kz(ししかず)
自転車に乗ることで日々の活力を回生させている壮年ライダーです。
エントリーアルミのTCRにパーツを交換しながら乗っています。
このブログでは実際に使ったアイテム&走ったコースの紹介をメインに綴っていきます。
Team SUMIT&神奈川ランチライド会会員

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