GIANT TCR2(2011) 改 ver 2017#1(WISHBONE導入編)

理想はマグネットコーティング、
現実はセラミックベアリング

6月の富士ヒルに向けては毎年この時期になると機材の性能アップを考えています。
が、いいパーツはどれも高価なので、散々な悩んだ挙句、結局購入に至らず自分の軽量化をして来ました。
しかし、今年は奇跡的に貯金ができたんです!
そこで、今年は真剣に考えました
『限られた予算でどう性能アップを図ったか?』
珠にしかない貴重な事なので考え方を整理しておこうと思います。
今回はパーツ選び編です

パーツ選びのヒントは歴史にあった!

予算がある、と言ってもカーボンフレームやカーボンホイールを買えるほどの額ではないので選択肢は限られます。
本体開発を行わず低コストの改修で最大の効果を出す!というのは開発に携わる人の常識なので、今回は歴史上(✳︎)のある技術者の言葉をヒントにパーツを選びました。
(✳︎)日本サンライズ史上の話です。

大戦末期、最終決戦となった星1号作戦決行直前、新型機の実戦投入が遅れていた連邦軍は激戦が予想される第13独立起動部隊のエースパイロットの機体にのみ、特殊なカスタマイズを施し、微妙な戦力アップを図りました。
戦後に振り返ってみると、実はこのカスタマイズが無ければ連邦の勝利はなかった、と言っても過言ではない程の戦果を挙げたモノでした。
その時のカスタマイズというのは関節部の摺動部分に磁力コーティングを施し、摺動抵抗を極限まで減らす“マグネットコーティング”と言う最新技術でした。
当時の連邦軍技師のモスク・ハン博士は『技術的には無限の反応速度が得られる』と豪語していたそうです…

マグネットコーティングの生みの親、モスク・ハン博士(左、手を挙げている人)と
コーティング施工中のエースパイロットの機体(右)

星1号作戦の攻撃目標となった青葉区
間違い、ア・バオア・クー

と、ここまで読んでくださった方は薄々感じていると思いますが、

上記にある歴史観は全部ガンダムの話です。

ガンダムに影響を受けたエンジニアが業界最前線で頑張っている現在において、そろそろ中学の理科でも宇宙空間における人類の覚醒についてを教えててもいいのではないか?という気がしていますが、現時点ではあくまでアニメの世界のお話しです。
しかし、モスク・ハン博士の理論を拡大解釈し、庶民に手が届く価格で商品化したのが今回紹介するWISHBONEというアイテムだと思い込んでいます。

と、脱線話はお終いにして現実世界のお話に戻りましょう。

実情は余剰パーツの再利用+パワーメーターの導入!

今回の変更のキッカケは、今年3月にパイオニアが実施したパワーメーターの”スタート応援キャンペーン”でした。
このキャンペーンと貯金状況がうまくマッチしたので左クランク用パワーメーターを購入できました。
(これが無かったら今回の改修はなかった、と思います)

3月に終了したパワートレーニングスタート応援キャンペーン
これが無かったら、今回の改修はなかったと思います

また昨年嫁さんのTCR SLR1(2016)を改修した際

アルテグラ(注)のクランクとRrディレーラーが余ったんです。(過去記事
そこでパワーメーター導入とパーツを足してフルアルテグラ化する!というのが今回の計画の全貌です。
(注)アルテグラ:シマノ製コンポーネントのセカンドグレード、実戦でも使用されているバリバリのレース用機材!

パーツに詳しい方はご存知だと思いますが、我が愛車TCRに最初からついてきたFSA製のクランクはアルテグラ(φ24)とはシャフト径が異なる(Φ19)のでそのまま移植出来ないんです。
そこでクランクを受け止める軸受(BB:ボトムブラケット)をアルテグラ対応仕様に変える必要がありました。
せっかく交換するんだからから最近話題のBB”WISHBONE”を使って摺動抵抗の少なくしよう、と考えた訳です。

改修が完了すれば6年落ちのエントリーアルミフレームにシマノのレーシングスペックのコンポーネントがフルセットでインストールされた世にも珍しいロードレーサーが完成する計画です。

嫁チャリ改修で余ったパーツ(クランク、Rrディレーラー&チェーン)に補填したのは
シフターとフロントディレーラーです。 (ブレーキは前から採用済)
これで、やーーーっとリヤ11速化の波に乗れます

パイオニアパワーメータSGY-PM910VL 左クランクの中央に鎮座しています。
クランクをパイオニアに送ってセンサーの取り付け&校正後、帰ってきました

”WISHBONE BB86-SH”を紹介します

BB86用WISHBONE
人気商品のため取り寄せに時間がかかりました

WISHBONEの販売を担う株式会社コリドーレのHPには以下の情報が記載されています。

適合フレーム規格:BB86
適合クランク:SHIMANO HOLLOWTECH Ⅱ
対応フレーム例:GIANT, ANCHOR, BMC, SCOTT, ORBEA, CANYON, など
対応BBサイズ:41mm / 86.5mm
本体素材:6061 T6. FULL CNC-MACHINED
ベアリング素材:ハイグレード G5 セラミック
組み付け工具:シマノ・ホローテック Ⅱ 用のシマノ製品・TL-FC32/36 などで装着出来ます

上を見てふむふむ…と理解する人はかなりの変態でしょうね(笑)
簡単に言うと、
・フレームに使われるのと同じ素材のアルミニウムから機械加工で削り出した筐体に、
・ハイグレードなセラミックボールベアリングをぶち込んだ
・ネジ込み式の軸受(BB)
という事です。

機械加工で削り出した筐体はとても強固なため装着するだけでBB周りの剛性がUPするため、ダンシングなどで高負荷を入力してもパワーが逃げません
また左右の軸受が独立している圧入式BBはダンシングなどの高負荷入力でフレームひずみが発生した場合、ベアリングもフレームと一緒に動くため、クランクシャフトとBBが強干渉して摺動抵抗が一時的に悪化する場合があります。
しかしにWISHBONEは左右BBを中央で連結するため、フレームひずみが発生してもクランクシャフトとベアリングの位相差は発生しないため強干渉による摺動抵抗の悪化はありません。
つまり高負荷においても安定した摺動抵抗で滑らかにクランクを回転させることが出来ます
(ここがWISHBONEの一番のウリだと思います)

ベアリングも一般的なスチールボールより硬いセラミックボールを使っています。
カンパやフルクラムの高級ホイールに使われている乾式タイプ(CULT)ではなくグリス封入タイプですが、回転ロスの少なさは使った人の多くが驚きと供に絶賛しています。

多くのロードレーサーに採用されている圧入式BBは取り外し不可のため通常は自分でメンテナンスできません。
異音が出たりして交換が必要になった際はハンマーで叩き出すんです。
(もちろん叩き出したBBは再利用不可。フレームへのダメージも心配!)
しかし、ネジ込み式なら専用工具が必要ですが、脱着可能なので自分でメンテナンスすることが出来ます

こう書くといい事しかないように見えるかも知れませんが、悪い所ももちろんあります。

それば重量増加と購入費用です。
重量はシマノ純正の圧入式BB(SM-BB92-41B)が54gでWISHBONE BB86-SHは102gなので48g重くなります。
価格はSM-BB92-41Bが定価4,011円。一方、WISHBONE BB86-SHは定価18,000円で13,989円高くなります。
まぁ、48gのタイムへの影響は算出できない程小さいですが、+13,989円はデカイ!
しかもどこについているのか分からないような地味~な部品です。
まぁその辺をどう考えるかは人それぞれなので良し悪しは判断できませんが、私のTCRは存在自体が地味なため今更ルックスにお金を掛けようとは思っていないので、全く問題視していませんでした。

パワーメーターも今回導入しました。
数あるパワーメーターの中で私が選んだのは、あのカーナビ&音響機器メーカーのパイオニアが画期的な機能と供に市場に投入した…

と、ここまでで既に大分長くなったのでパワーメーターについてはWISHBONEの感想も含めて次回にお話ししたいと思います

中央のネジで左右のベアリングを連結します。
BB自体が強い剛性を持っているので装着するだけでフレーム剛性がアップします。
但し大部分がフレームの中に入ってしまう(*)ので、部品の存在感はかなり低めです
(*)装着後に見えるのは左右の端っこのギザギザリングのみ

ここがBB(ボトムブラケット)です。
高い部品なのにクランクが付いてしまったら外観的なアピールは殆どできません。
LEDでもつけようかな…

補足

パワーメーターとコンポの交換はいつもお世話になっている相模大野のイトイサイクルさんにて作業してもらっています。
気さくな店長とまじめなメカニックさんがいるお店で、常時豊富な在庫もあるので、自転車好きにはとっては眺めているだけで幸せな時間を過ごせる場所です。
相模大野駅からほど近いので、興味のある方は買い物のついでに是非寄ってみてください。

投稿者プロフィール

44kz(ししかず)
44kz(ししかず)
自転車に乗ることで日々の活力を回生させている壮年ライダーです。
エントリーアルミのTCRにパーツを交換しながら乗っています。
このブログでは実際に使ったアイテム&走ったコースの紹介をメインに綴っていきます。
Team SUMIT&神奈川ランチライド会会員

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