How to walk by crutches
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松葉杖での歩き方
スキー場でスキーをする前に骨折して始まった松葉杖生活も2週間を超え、公共機関を使用しての通勤・通院にようやく慣れてきました。
会社まではバス・電車を利用しているのですが、最大の難所は駅改札から会社行きのバス停まで移動で、片道約450メートルを人ごみの中一気に歩かなければなりません。
(出勤時は時差出社である程度人混みを回避できるのですが、帰りは避けられないので真剣です!)
そんな感じで周りの皆さんに配慮いて頂きながら、ナントか通勤しております。
上記のような環境なので、1日最低でも約1kmくらいは歩くので、松葉杖を使った歩き方もだんだん効率よくなった気がしています。
(最初はバス停に着くと息を切らしていたのが、だんだん余裕になってきたんです)
そこで、今回は松葉杖を使った歩き方のコツを紹介しようと思います。
自転車とは直接は関係ないかも知れませんが、万が一、読者の方々が松葉杖で歩くような状況に落ちいった際、少しでもお役に立てれば、と思っています。
フォーム確認・スタート前のポジション
脇の下で体重を支えているイメージがありますが、それはマチガイで写真のように脇の下は空けます。
(体重は両腕で支え、包帯が巻いてある部分(支点)を腕の内側と肋骨の2か3番目で挟む)
こうしないと脇の下の血流が阻害され、別の障害がでる危険性があるそうです。
基本的な歩行メカニズムの説明
松葉杖の歩行は基本的に振り子運動です。
最初にカラダを前傾させた勢いを利用して、タイミングよくカラダを伸び縮みさせれば効率よく歩行サイクルは回ります。
まずはモデルの歩行シーンをご覧ください。
この動きの分解写真があれば解りやすいと思うのですが、それを用意する機材と実力がないのでモデルをロボットに見立てて簡易的な分解模式図とアニメーションを用意しました。
分解図
アニメーション
これでなんとなくイメージは解っていただけると思います。
各フェーズのポイント
次に上の分解図を基に各フェーズでのポイント説明します
1.最初にカラダを伸ばす
ストライド(歩幅)を稼ぐのに最も重要なプロセス。急いだりして焦ると意外と忘れるので要注意
2.上体を前傾させる。
振り子運動のエネルギーはこの前傾による体重移動で生み出します。
できるだけ遠くに杖を突くには、できるだけ前傾角が大きくなるまで待ってから杖をつくのが重要
(ただし、遠すぎると要求される腕力も大きくなるので自分の限界を見極めることが必要)
3.杖を突く
杖の着地点の状況は必ず目視確認が必要。ここが滑ったらOUTです
DRY or WET、グレーチング、傾斜(前後・左右)、を 瞬時に判断して安全なポイントに正確につくこと。
片斜面の場合、肩を使って地形を吸収することも必要
また左右で突くタイミングがズレルとカラダが回ってしまうので、ここも要注意
4.身体を縮め、杖に全体重を乗せる
両腕で体重を支えたら、広背筋を使って体を移動させます。
このときキックする必要はありません。(しなくても十分移動できますが、キックについては後程述べます)
この際、脚を引きづらないように脚を曲げるのですが、下半身を締めるとエネルギーロスが減り、
スウィング速度があがるので、足を持ち上げるだけでなく、腹筋を使って下半身を締めます。
( 私の場合、患脚の踵をお尻の真下に位置するようにして腹筋に力を入れてます)
5.前傾で生み出した勢いを利用して、カラダを運びます
6.松葉杖よりカラダが前に行ったら着地の準備をします
脚は縮めたまま、着地点の状況を再度確認します
7.脚を伸ばして着地
この時、ストライドを稼ぐため、無理に脚を伸ばすと、着地角度が浅くなってスリップリスクが高まるので、
出来るだけ脚を伸ばすタイミングは遅くしてスリップリスクを回避します。
(基本はこのプロセスでストライドを稼がない)
8.着地したら腹筋を使って上半身を元に戻し、勢いを利用して次の前傾姿勢に備えます
以上で基本的な1サイクルは完了です。
基本的には最初の上体の前傾によって体重が生み出したエネルギー(+ちょっとの広背筋力)+カラダの伸び縮み(+締め)で移動できるようなサイクルになっているのが分かってもらえたと思います。
<注意>実際には上記の他に歩行時間×体重に比例した腕力が必要ですが、これは体重を支えるためであってサイクルを回す力ではないのでここでは分けています。
これを繰り返すことで、自分の一番楽なストライド(杖を突く距離)とスウィング速度が見つかると思います。
応用編 スピードアップへの道
基本的な歩き方が楽になってくると当然スピードへの憧れが沸いてくると思います。
私も日々追及しているところですが、奥が深くまだまだ試行錯誤ですが、これまでに試して効果があったポイントをいくつか紹介します。
・突き出す前に更にカラダを伸ばす(上記3のプロセスでストライド量を増やす)
着地の際、衝撃吸収のため膝の他にカラダも少し縮めているので、杖を突く際に意識して伸ばせば、まだ少し伸びる余地があります。
その伸び代をここで出し切り、より遠くに杖を突くようにします。(シャクトリ虫のイメージ)
これはカラダの移動量が大きくなるので、スピードが出ていないと杖を登り切れず途中で墜落します(棒高跳びのイメージ)高速巡行に入った際に使える技だと思っています
にせヒロシ’s ポイント ~このフェーズで使える2つの技~
[ハの字突き] 杖を前に出して突く際、ほんの少し親指を内側に、小指側を外側に開く
こうすることでスウィングする際、上腕二頭筋だけでなく広背筋も使い易くなる(気がする)ので、
下半身をスムーズに運ぶことが容易になる
(ボートローイングのような要領)
[指センサー] ハの字突きの際、杖の向きを把握する方法
人差し指を伸ばして杖に添えると杖の向き(ちゃんとハの字になっているか)を把握しやすいです。
ハの字突きと指センサーは病院でも教えてくれないコツです(完全にオリジナルな技です)
体感的にはとても効果がありましたが、試す際は自己責任でお願いします
・バックスウィング(フォロースルー)を大きくする。(上記7のプロセスでストライド量を増やす)
ボートローイングの要領で広背筋を使って、両肩甲骨が付くまで松葉杖を後ろに送ります。
これをやると上半身が大きく移動するので、着地のスリップリスクを回避しながらストライドを増やせます。
但し、図でわかると思いますが脚を伸ばせないので着地の際は脚を縮める必要があります。
(これが次のキックの”溜め”になります)
また、広背筋を強化する必要があります。
・離陸する際、健脚でキックする。(上記3のプロセスで移動エネルギを増やす)
バランスを崩しやすく姿勢を維持しにくいので連続使用するのは非常に高難度な技。
しかし、爆発的にエネルギが増えるので、ゴール前スプリントの最後の一歩には有効。
(習得できればスタートダッシュにも使えるかも)
いづれにしても、使う際は路面状況、転倒した際の安全環境が備わっていることを確認する必要ありです。
応用編のアニメーション
上記の要素を取り入れたイメージです。ベーシックな歩き方に対し、ストライド量(歩幅)が増えた分スピードアップが可能です。ただこのサイクルを回すには筋力強化とスタミナアップが必要ですね
(それが出来るようになる頃にはギプスが外れていると思います)
スピードの違いを分かりやすくするため基本編と応用編を比較してみました。下が応用編です
カラダの伸びとフォロースルーを大きくする事でスピードアップするのが分かると思います。
更に、キックを最大限に活用して、杖を突くポイントをより遠くにできれば更に早い歩きが可能かも知れません。
(構想だけです。もはやこれは”D難度”と言うべきか…)
基本編よりスピーディな応用編とそれより更に速い究極の”D難度”の比較。下がD難度です
と、いろいろ書いてみました(最後のは殆ど悪ふざけです)が、まだまだ杖生活の先は長いのでもう暫く研究は続きます。
(残念ながら…)
機会があれば、また紹介したいと思います
ご清聴ありがとうございました!