Mt.富士ヒルクライム2017の振り返り
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今年も富士ヒルクライムに参加してきました、それだけです…
6月11日、好天に恵まれ絶好のコンディションの中、第14回 Mt富士ヒルクライムが開催されました。
日本最大規模を誇るこのイベント、10000人を超えるサイクリストが富士山5合目を目指し、自転車で駆け上がりました。
人気の秘密は世界遺産富士山を登るというコースのロケーションとユニークな完走証にあると言えると思っています。
富士ヒルクライムとは
念のため、富士ヒルクライムというイベントを知らない人のために軽く説明すると…
富士スバルライン(胎内交差点~5合目まで24km)を自転車で登るヒルクラムレースで完走タイムによって貰える完走証のコラムスペーサーの色が異なるんです。
・65分以内 ゴールド
・75分以内 シルバー
・90分以内 ブロンズ
・上記以外 ブルー
となっており、大体の方はまず最初にブロンズを目標に出場すると思います。
しかし問題はブロンズを獲得した後で、なかなかシルバーに手が届かず不本意ながらブロンズコレクターとなってしまう人も少なくありません。
かく言う私は2014年の初出場から昨年まで3年連続で参加していますが、タイムはいづれもシルバーに届かず全て90分以内、3つのブロンズリングを持つ立派なブロンズコレクターとなっております…
当然、2年目以降の目標はブロンズではないので、毎年このレースに向けて色々な事と折合いをつけて日々練習しており、もちろん今年もそうして本番に臨みました。で、結果は
86分でした。(年代別上位11%、総合上位23%)
シルバー(今年は年代別上位1%、総合上位7%)に近づくどころか昨年の記録よりも後退(+3分)するという惨敗でした。
大会後、暫くは喪失感と変な開放感に包まれ、練習もせず、なんかテキトーに漂っている感じでした。
しかし、3日間くらい何もしないでいると、だんだん傷(?)が癒えて
『もっと苦しくて辛い練習をまた1年やればいいだけ!練習をサボる理由を探してるんじゃない!』
という気持ちが沸き、胸の奥にあった燃えカスに再び火がつきました。
こんな感じで時には自転車に乗らないで元気を回生させる時もあるんです。
という事で、来年に向けて今年の大会に向けた取り組みを振り返って見たいと思います。
目標設定の背景
昨年の富士ヒルで学んだのは
1.イーブンペースで登るべし
2.レース負荷を鍛えるなら、それ以上の負荷で練習する必要がある
(両方とも筧さんのお言葉 過去記事)
イーブンペースを達成するために今年3月に念願のパワーメーターを購入(過去記事)。
この部分はお金でしか解決できないので、1年貯金しました。
レース負荷を鍛えることについては、従来のメニューに体重の5〜6倍(5〜6W/kg)の負荷のメニューを増やしました。
この結果、昨年の11月末頃には20分走の平均出力はコンスタントに4W/kg(Max4.5W/kg超)を超えるようになりました。
ここでパワートレーニングの用語”FTP”を説明しておきます。
自転車選手の実力を測る指標としてFTP(✳︎)と呼ばれる数値があります。
(✳︎)Functional Threshold Power :1時間持続できる出力のこと。
FTPは簡易的には20分走出力の95%値で代用できるので私のFTPは11月時点で3.8W/kgでした。
富士ヒルでシルバーを獲得するにはFTPで3.8〜4.0W/kg程度が必要と言われています。
11月時点で3.8なので、このまま練習を続ければ本番までには4.0W/kgに手が届かな…と密かな自信と期待に溢れていました。
(ちなみにブロンズなら3.1W/kg程度です)
しかし、12月以降、3月末までの練習が計画通りに出来なかったんです。
敢えて言い訳すると…残業爆発のため平日の夜練習の時間が半減してしまいました。(下表)
私の場合、冬の週末は毎週スキーなので土日でリカバリ出来なかったのも痛かったかな…
その結果、3月末頃のFTPは3.3W/kgまで逆に落ちてました。
そこから本番前週までリカバリーに努めたのですが最終的に3.5W/kgまでしか届きませんでした。
となると、
『今年の目標はシルバーです!』
と言うのは粉飾決済みたいなもんなので、今年の目標は
”80分(≒3.4W/kg)、自己ベスト更新”(自己ベスト82分50秒)
としました。
今年は昨年のように富士ヒルのトレーニングを公開しなかったのは全く計画が立たなかったから書けなかったんです。
最終週までパフォーマンスのリカバリーに務めたので上記の目標としたのも本番の前週でした。
もちろん試走はしました。しかし結果は…
いつもなら本番前に2回は試走するのですが、今年はタイムアタックできるコンディションになるのが遅れたため、ナントか前週に行くのが精一杯でした。
上記にも書きましたが本番1週間前の実力はなんとか80分には手が届くかな…というレベルですが、希望的観測や精神論で決めたのではなく運動生理学的にもオーソライズされているパワートレーニング手法で決めたので、それなりの自信はありました。しかし
”確実に80分は出しておきたい!” というお利口な思いと、
”ホントはもっと出ていたんだから調子が良ければその上を” というバカモノの思いとの葛藤があり、その結果、バカモノの思いが勝ってしまったんです
結果、出だしからハイペースで走行して後半失速!
ボロボロになって結局89分もかかってしまいました。
貴重な1回の試走を何かやってんだか分かんない、ただ苦しいだけのサイクリングにしてしまったのでした。
下表はその時の距離ごとの出力の変遷を表したグラフです。ここから分かることは
・出だしのハイペース(FTPを超えている)はその後のリカバリーはムリ!
・ブロンズ獲得は約3.1W/kgあれば可能(青点線)
という事です。
本来なら試走でFTP付近(黄色 点線のチョイ上)の数値をレース時間維持できるか?を確認すべきでした。
貴重な1回の試走を好き勝手に走ったら、何にも残らん!という例です。
で、その反省を踏まえて、考えた本番の走り方は以下です。ポイントは
・出だし(1合目下まで)は借金覚悟で出力を抑えて、心拍数を確実にレース心拍数に定着させる
・FTPのチョイ下(3.4W/kg)で勾配の緩いメイン区間を走り、終盤には全てを出し切って前半の借金を返す!
イメージは下表の黄色実線です。(黄色点線は平均値)
試走は失敗してしまいましたが、そこからの反省で具体的な作戦を立て事が出来たのは救いでした。
(本来ならもう一度試走して確認したいところだったんですけどね…)
本番の走り方
という事で本番のお話です。
本番でやることは単純明快
”上の走り方を再現すること。そうすれば絶対結果はついてくる!”
と信じて走るだけ
しかし、ちょっとしたハプニングが起きたんです。
当日朝気づいたんですが、心拍計を家に忘れてしまったんです
(ベルトは持ってきたのにセンサーが付いていなかった…)
パワーメーターを使ってFTP近辺の出力を維持するというのは同時に心拍計を見て心拍数が最大心拍数を超えないようにマネージメントすることなんです。
例えば出力が落ちてきた場合、心拍数が最大心拍数を超えていないのであれば気合を入れて出力をあげるようにするのですが、心拍数が最大心拍数を超えているのであれば、その出力低下は容認して心拍が回復するのを待つ必要があります。
(最大心拍数を超えた領域を長く使うと完全に消耗して、暫くは全く動けなくなります=オールアウト)
具体的に言うと、今回は最大心拍数を170bpmとしていたのですが、疲労等で出力低下した時の心拍数が160bpmの場合と170bpmの場合ではとるべき方策が変わる、ということです。
つまり今回の戦術は心拍数がオールアウトに飛び込まない領域でパワーは全力の95%で走りきるもので、心拍計とパワーメーターがセットになって初めてコントロールできる方策なんです。心拍計と一緒に使わなければパワーメーターはただ自己満足の道具に過ぎません。
選抜クラスの選手はメーターを付けない人も多いと聞きますが、心拍計だけはつけるという人も少なくありません。
そういう意味で心拍計はものすご~く大切な機器なんです。
これがない、というのは想定外でした…
昨年はパワーメーターなしの盲ワット走法でした。
まさか今年は心拍計なしの盲心拍走行をやるハメになるとは…
まるでNHKのチャリダー実験室で伊野さんと五郎さんが喜んで取り扱うネタになりそうなシチュエーションでした
事が重大すぎて、深刻に悩むことを辞めました。
とにかく結果を見てみましょう
始まる前から色々ありましたが、とにかく走り切りましたのでその結果を見てみましょう。
一言で言うと試走の学習効果も出た、と言えるでしょう。
まずは結果をご覧ください(下記の赤実線です)
心拍数が許容限界を超えないうちは出力管理が出来ており、まぁまぁの走りだったのですが、13kmを過ぎた頃からの落ち込みが止まりませんでした。
盲心拍走法だとオールアウトを恐れ、守り側にズレるのは仕方ないのかも知れません。
心拍計があれば少しは持ちこたえることが出来たかもしれませんが、まぁ時間の問題だったんでしょうね。
とにかく後半のタレを改善しないことにはランクアップは望めない、ってことです。
結果、試走よりトータルの平均出力は僅かに向上したものの(3.18←3.1)、達成は固いと思っていた目標にも届かず、
今回もただ苦しいだけのサイクリングになってしまいました。
強いて言えば、欠点が定量的に分かったことが今年の最大の収穫だった、と言えると思います。
区間毎の感想
0-5km
FTP以下(3.3)で入ってチョット落ち込みはあるものの、まぁまぁ計画通りの走りか、と
5-10km
緩い勾配区間での出力がでていない(←休んでいる)が、急勾配区間ではほぼ目標値を達成。
ここを目標通り走るために必要な16Tを揃えるため高い12-27を買いました。狙い通りスイートスポットで走る際は役に立ちました。やはり買ってよかった。
しかし、この辺りから心拍数が許容心拍数に近づき、無意識に守りの走りになっていたようです。
もし心拍計を見ながらこまめに出力の上げ下げが出来きていたならば…
あと2~3分(←少ね!)は改善したんじゃないかなぁと思います。
10-15km
13km以降、出力は急勾配で転がり落ちてます…
まぁ心拍管理ができたとしても食い止められたかどうか怪しい所ですね
15-20km
大沢駐車場の地元ボランティアのみなさんによる陣太鼓の応援もむなしくここでも出力の転落が止まりませんでした。
しかし、一時的に復活している区間(19~20km区間)ところがあります。
ここは山岳スプリット区間です。富士ヒルは終盤の激坂区間にタイム計測区間が設定されているんです。
不思議なことにここの結果は総合上位17%以内と総合順位よりいい成績を残せました。
やはり私も坂バカの類なのでしょうか
ヘロヘロにも拘わらず激坂区間は無意識に頑張ってしまえるようです。
(やっぱり心拍数に余裕があったのかなぁ…)
20-24km(ゴール)
山岳スプリット区間を過ぎれば、奥庭駐車場が見えてきて富士ヒル名物の”天空の平坦路区間”が現れます。
標高2000mを超えた地点でのハイスピードバトル!
ここは何が何でも40km/h以上は出さないと絶対後悔する区間です。
(ちょうどいいトレインがない、とか向かい風がキツイとか、言い訳する余裕があるなら踏め!という区間)
今回も振り絞って45km/hをマークしました。
で、その後の300mは泣いても吐いてもいいから兎に角モガキまくってゴール。
既に途中でタイムは予想できていたのでゴール後は悔しさなんて感情も湧かず静かに現実を受け止めるだけでした。
まとめ
残念ながら2年連続の後退。
昨年大会以降、1年間練習してきたのですが、特に今年はなかなか思うように行かないことが多かった気がします。
特に終盤の練習量が確保出来なかったのは致命傷でした。
まぁこの時点で赤信号に近い状態ではありましたが、直前までこのビハインドをひっくり返せる!と信じて全力で頑張ったのも事実です。
正直、終了後3日間くらいはかなりガッカリしたのですが、もう既に気持ちは切り替わりました。
このリベンジをするには1年待たないといけないのですが、有難いことにやるべきことは沢山あります。
きっとあっという間に来年になることでしょう!
最後に今年の富士ヒルで学んだ事を買いておきます
1.試走は絶対2回やること(初期確認と対策)
2.鏡の前で自分を指差し、こう言うこと
”出かける時忘れ物がないか、もう一度確認すること、ヨシ!”
さぁ、来年に向けてやることを始めよう!っと。
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昨年のファンライドブートキャンプでご一緒しました。その後拝読させていただいてます。
私も今年の富士ヒルは余り納得いかない結果に…
人が多過ぎとか、向かい風強かったとか、Tシャツ買えなかったとか、いろいろ言い訳は探せますが、心拍計無し、というのはこれは厳しい、立派な理由ですね。
会場では(人多過ぎて)お目にかかれませんでしたけど、またどこかの峠でお目にかかれれば。
コメントありがとうございます
VRSさんのタイムは毎回チェックしてますよ
ちゃんと2ページ目に残っているところは流石です!
来年は久しぶり富士ヒルポーズで撮りたいと思います!